虫歯になるとどんな病気になりやすいの?
オリンピック、賛否ありましたが暗いニュースしかない中、とても日本を元気にしてくれたと思います。次のオリンピックは観客が入った状態で行えるといいですね。
さて今回は前回の歯周病に引き続き、むし歯菌が体にとってどんな影響を及ぼすのかをお話ししたいと思います。これもむし歯→全身疾患なのであしからず。
そもそもむし歯というのはミュータンス菌という細菌が原因です。この細菌は抜歯などの出血を伴う歯科治療や歯磨きなどによって血液中に入り込むことが知られています。そして、虫歯菌も体内をめぐって全身に影響を及ぼすことがわかってきました。そのうち大きな影響があるのが、脳卒中と心臓病です。
①脳卒中 脳出血の患者数は年々減少傾向にあります。しかし高齢になればなるほど発症する人が増えていっています。脳の血管は不適切な生活習慣や加齢によって柔軟性を失い、もろくなります。このような状態の血管に虫歯菌がつくと炎症がおこり、血管壁が破れやすくなることが研究によりわかってきました。このことから適切なお口のケアと歯科治療によって虫歯菌を減らすことが脳出血の予防につながると言われています。
②心臓病 心臓病のある人では、心臓の弁幕屋内膜にむし歯菌のかたまりができることがあります。実際、手術で摘出された心臓弁膜症の人の弁を調べたところ、なんと
半数以上にむし歯菌のDNAが検出されました!!
恐ろしいですね。また心臓弁膜症とは、心臓にある4つの弁のいずれかが開きにくくなったり、閉じにくかったりする病気です。心臓に負担がかかり続けるため、やがて心不全になります。心臓弁膜症を引き起こす原因には加齢や動脈硬化のほかにも感染症もあげられます。また、心臓弁膜症がある人は、命の危険もある感染性心内膜炎が起こりやすくなることが分かっています。なお感染性心内膜炎とは心臓の内側を覆っている内膜に細菌などが感染して炎症が起こる病気です。発熱など症状が現れ、治療が遅れると心不全を引き起こしたり、心臓の中にできた最近のかたまりが脳になられこんで脳梗塞の原因になったりすることがあります。出血をともなう歯科治療が要因の一つとされているため、心臓弁膜症のある人は事前に教えて頂けると幸いです(事前の抗生物質などで対応します)。
今回は虫歯菌にスポットを当てて全身疾患とのつながりをお話しさせていただきました。歯周病と同じく虫歯を放置していいことは一つもありません。何事も早め早めの行動が大事に至らない一番の近道だと思います。痛くない今だからこそ、むし歯を治してみませんか?それではまた。
歯科医師 河合鮎樹