学校健診後治療調査結果
さて今回は学校健診後治療調査と題しまして、2020年に行われた学校健診で要受診となった方がその後、それぞれの病気に対して受診されたかという調査結果についてです。
早速結果ですが病気だと健診で言われて受診しなかった割合が眼科検診が55.4%、耳鼻科検診が57.4%に対して、歯科は
62.3%
となりました。わかってましたがやはり他の科と比べると高いですね。さすが行きたくないところランキング堂々の第三位です(涙)。さらに去年との比較になると、去年は57.0%だったことを考えるとやはり受診控えが原因なのではないかと考えられます。
学校では一斉休校や健診の時期の遅れなど受診などの結果報告期間が短いということも考えられますが、やはり、「虫歯があるから歯医者さんに行きましょう」と言われても行きにくい「空気」になってしまっているのが大きな原因だと思います。
次に口腔崩壊についてです。言葉だけ聞くと口の中どうなっちゃってるの??という状況なのですが、まさに思われた通りで「虫歯が10本以上あり、歯の根だけしかなく咀嚼が困難な状況」を指します。そんな子供ですが、要受診の中のどれくらいの割合を占めるかという調査に対し、
29.8%
の子供が口腔崩壊をしているという結果になりました。これも去年が28.9%なので少しですが増加しています。つまりうまくご飯が食べることができないくらいにお口の中が崩壊している子供が三割もいるということです。ここで愚痴を言っても仕方がないですし、そもそもこんな歯医者のブログ読んでいる人は歯に興味があるに決まっているので届かないのですが、いつもこのデータを見ると憤りを感じるとともにとても悲しくなります。
例えば、健康診断に行って、人間ドックに行って、「あなた肺に癌がありますよ」と言われても、「いやコロナが怖いから受診を控えよう」ってなりますか?「別に肺は二個あるからダメになったら一個とってもらおう」ってなりますか?噛める歯がなくなってしまって、お肉やお野菜が噛むことができないのに「ご飯が噛めないから飲み物だけでいいや」ってなりますか?歯の神経が飛び出して痛くて痛くて仕方がないのに「痛み止め飲んどけばいいや」ってなりますか?
子どもは一人で歯医者に行けません。正確には一人で歯医者に行こうという思考ができません。大人になれば、それぞれの理由、コロナが怖くて受診を控えたり、痛くても痛み止めを飲んでその場をしのいだりすることは自由だと思います。歯医者に行くという選択と行かないという選択の上で決められることなので。ただ子供にはこの選択肢はありません。どれだけ痛くても、どれだけご飯が食べれなくても、
おかあさん、はがいたいよ
としか言えないのです。もしかしたらそれを言うこともできないかもしれません。
かなり乱暴な物言いになってすみませんでした。ほとんどの方は歯が痛ければ歯医者に連れていきますし、歯が痛くなくても検診に来てくださいますし、なんなら歯が生えていないお子さんを連れて見える親御さんもみえます。守山区は本当に意識の高い方が多く、素晴らしいなといつも思っています。ただ一方で先ほどのような口腔崩壊をしている子供がいることも事実です。口腔崩壊している子のほとんどが歯医者に行ったことがありません。虫歯になるのは子供の責任「も」ありますが、むし歯を放置するのは親の責任です。それではまた。
歯科医師 河合鮎樹