研修医の給料について
さて今回は研修医の給料と題しまして、歯医者の初任給はいくらくらいだろうという話をさせていただきたいと思います。
そもそも研修医とは何ぞやからお話しさせていただきます。硬いお話になりますが、歯医者には歯科医師法という法律がありまして、その法律に遵守しなければ歯科医療行為は行えません。その中にある歯科医師法第16条の2
診療に従事しようとする歯科医師は、1年以上、歯学若しくは医学を履修する課程を置く大学に附属する病院(歯科医業を行なわないものを除く。)又は厚生労働大臣の指定する病院若しくは診療所において、臨床研修を受けなければならない。
とあります。つまり国の指定する病院または診療所で一年間研修を受けないと歯医者として認めないよ(厳密には違いますが)という法律があります。この一年間の間、それぞれの病院または診療所で研修を行っている歯科医師のことを総称して「研修医」と言ってるんですね。またややこしいですが、一年以上となりますので、もちろん二年目も研修を行っている先生も見えます。なので二年以上研修を行う研修医を分けるものとして一年目を初期研修医、二年目以降を後期研修医と分けるところもあります。これは一年間は必ず行わなければならない法律なので、二年目以降は法律的には問題ないが望んで研修医を行っているという先生と区分するためにあるものです(僕は後期研修医をしてないので間違ってたらごめんなさい)
さてこんな法律があるもんですから、みんな卒業したら行きたい歯科医院に就職することはできないんですね。ましてやすぐに開業するなんてこともできません(厳密にはできますが保険診療ができません)。ですのでこの国の指定された病院に就活をします。この研修医の就活を「マッチング」と呼んでいます。このマッチングは一般的な就活と同じで、当然人気で大手の病院は倍率がめちゃくちゃ高いです。もちろん法律で決められているので必ずどこかの病院にマッチングしないといけないので必ず国家試験に合格した歯医者はどこかの研修施設に行くことになります。
さて本題です。去年の八月に行ったアンケートで、35の病院を対象に「研修医に対するアンケート」を行いました。
その中の給与に関してですが、初期研修医(いわゆる一般的な研修医です)の給与は
平均31万7836円(各種手当を除く)
でした。ちなみに後期研修医は40万5541円でした。また賞与に関してはある医療機関が80パーセントほどでした。
みなさんこの金額をどう思いますか?ちなみに一般的な大卒の初任給の平均は22万6000円(2020年調べ)だそうです。もちろん歯学部は6年制の大学なので単純に比べることはできませんが、大卒三年目の給料と比較しても僕はかなりいいほうなんじゃないかな?と思っております。言い方は悪いですが、国家試験を通ったばかりの何もできない研修医がこれだけもらえたら夢がありますよね。しかしこれは平均でしかないです。幅も22万から40万とありますし、なにより35の病院からのアンケート結果ですので母数がかなり少ないです(というかアンケートに答えるくらいですから自信がないと答えられないと思います。個人的見解ですが。)
世の中お金がすべてではありません。本当に学べる環境、自分にとってこうなりたいという理想的な上司がいるなど、お金を払ってでもそこで働きたいというような職場も世の中にはあると思います。しかし、「研修医は7年生なんだからお金もらえるだけありがたいと思え」なんて言われるような研修施設もあるみたいです。一年間の強制といえども、社会人として初めて働く場所。近いだけで決めるのではなく自分にとって本当に学びたいと思えるような職場で素晴らしい歯科医師を目指していただきたいと心から願います。それではまた。
歯科医師 河合鮎樹