歯は食べたら30分開けてから…

歯は食べたら30分開けてから磨いたほうがいいの?

寒い日なのか暑い日なのか。なかなか服装が定まらない日が続きますね。

さて今回は歯は食べたら30分開けてから磨いたほうがいいの?と題しまして、歯磨きのタイミングについてお話ししたいと思います。

もううろ覚えなのですが、たしか4~5年ほど前にテレビか雑誌だったと思いますが、大々的に

「30分以内に歯磨きをしたら歯が削れる!!論文もある!!」

みたいなニュースがあったと思います。確か食後すぐに磨くと食事中に酸により脱灰されたエナメル質が傷ついてしまうため、唾液の再石灰化を待ってから磨くべきという理論だったと思います(うろ覚えですみません)。なのでその名残で30分間は食後は磨いちゃダメという風潮が広まってしまったことがあります。

そして論文も酸につけた歯の象牙質をやすりで削ったら、普通の歯の象牙質よりもよく削れたという論文だったと思うのですが、これは当たり前で、普通の鉄とサビた鉄どっちが脆いですか?と言われたらそりゃサビた鉄だと思います。そして論文は象牙質、広まった噂はエナメル質が削れる。これも内容がちぐはぐしてますね。また論文は実験室での結果。口腔内ではとても複雑な環境にあります。確かに理論としては酸性に傾いた状況でブラッシングするよりも、中性になるのを待ってから磨いたほうが削れにくいということはわからなくもありません。ではそもそも論なのですが、食べ物はすべて酸性なのでしょうか?食事の最後の一杯は必ず炭酸飲料なのでしょうか?

そして最もお伝えしたいことがありまして、虫歯の原因についてです。以前にもお話したことがあると思いますが、虫歯とは糖を食べた虫歯菌がそのあとに吐き出す「酸」が原因で起こります。この虫歯菌はこの30分はブレイクタイムで休憩してくれているのでしょうか?そんなことはないですよね。常に虫歯菌は長い間お口の中を旅していて、命からがら見つけた糖を30分も待っているはずはありません。すぐに食べてすぐに酸を吐き出すと思います。つまり待てば待つほどお口の中は酸性になってしまうんですね(酸と酸性については多少語弊がありますが許してください)

つまりお口の酸性の状態で歯を磨くと削れやすいというのは間違っちゃいないが、待っていても虫歯は進行するだけというのが結論になります。なので食後は30分待たずにすぐに磨きましょう。目からうろこ、みんなが知らない本当のことなど目を引くことがないとみてもらえないということはわかってはいますが、それが生み出す多大なる弊害も少しは考えていただけたらなぁと思う今日この頃です。昔の人は「3・3・3」といって一日三回、食後三分以内に三分間歯を磨くという言葉があったりします。三分間というのは人によって変わってくると思いますが、目からうろこよりもこういった昔からよくある習慣、格言なんかを伝えることのほうが大切なのではないかなぁと思います。それではまた。

                      歯科医師 河合鮎樹

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