マウスピース
WHOのブノワさんの発言が波紋をよんでますね。どなたかの記事で「ブノワさんは言葉が足らず、誤解を招くことが多い」とおっしゃっている方がみえましたが、WHOが公的に発言する人が誤解を招きやすい発言が多いってどうなんでしょうね。
さて今回はマウスピースについてお話ししたいと思います。少し前にマウスピース矯正についてお話したことがありましたが、今回は矯正とは関係なく、よくあるマウスピースについてお話ししたいと思います。
みなさんマウスピースと聞くとどんなイメージを持たれますか?僕が一番最初に思いついたのがボクシングです。最近だとラグビーなんかもありますね。こちらは「スポーツ用のマウスピース」になります。これは外からの衝撃に対して、歯と歯がぶつかって折れたりかけてしまわないように保護するためのものです。厚みとしては保護しなければならないので結構分厚くできています。現在何か起きているわけではなく、今後起こるかもしれないものを予防するものですので、こちらは保険適応外になります。
二つ目に歯ぎしり用のマウスピースがあります。こちらはその名の通り、歯ぎしりをする方につけていただくもので、これを睡眠中につけていただくことにより、歯の摩耗や、過度の負担から歯を守るためにつけます。こちらはスポーツ用と違って付けている時間が長く、毎日のものになるので、スポーツ用のものと比べたら少し薄めになります。また、歯ぎしりという病名に対して行うものになりますので、こちらは保険適応となります。
三つ目として、睡眠時無呼吸症候群用のマウスピースとなります。聞いたこともある方がみえるかもしれませんが、寝ている時に呼吸が止まってしまう病気があります。これの原因のひとつとして、舌がのどの奥の方に落ちてしまい、気道がふさがれてしまい起こる方がみえるので、舌がのどに落ちないよう、顎を前の方に出した状態でマウスピースを作り、気道を確保するという治療法があります。こちらも当然病気に対して行うものになりますので、保険適応となります(医師の診断書が必要です)
他にもホワイトニング用のものなどがありますが、主なものはこの三つになります。当然ですが、どれも歯科医師が診断をして、型どりをし、かみ合わせをしっかりと確認して、それぞれがオーダーメイドで作るものになります。金額としてはそれぞれ違うものになるのでざっくりにはなりますが、だいたい3000円から6000円くらいの間だと思います。そして使用頻度にもよりますが、だいたい半年から一年は使うことができると思います(病気の程度にもよります)。ですので月換算するとだいたい250円から1000円ほどの負担になると思います(幅広い)
さて、ここで思った方もいると思います。
いやAmazonでマウスピース売ってるよ?
それではみてみましょう。
確かにめっちゃ売ってますね。それもめっちゃ安い。安いものだと680円から高いものでも2000円くらいですね。こんなに安いならわざわざ歯医者で3000円もかけて作らなくてもいいですね。しかも一個で680円じゃなくて、3個で680円なんてものもあります。悪くなっても新しいのにすぐに変えることができるのでとてもいいですね。
「自分にしっかりとあったものだったら」
勘のいい方ならお分かりだと思うのですが、先ほどお伝えした、マウスピースには三つの種類がございます。それぞれの目的に対して、それぞれに適応したマウスピースを使うべきなのですが、この商品名にはそれが書いてありません。また書いてあっても医学的に全く根拠のあるものではございません。それどころか一部これを長期間使用したら医学的に異常をきたすものもあるように見えます。また、なぜ一個単位で売らないのでしょうか?おそらく非常に耐久性が低いのではないかと思います(これは個人的な意見です)
もちろん自分の目的や症状にしっかりあい、一番安いものなら一個225円でかつ何か月も使うことができるのであればコスパはいいと思います。しかし先ほど書かせていただきました、歯科で作っても月の負担金額が250円からになります。そして、しっかりと診断したうえで医学的に正しいものを、オーダーメイドで作らせていただきます。是非お困りの際は歯科医院でマウスピースをおつくりになってください。何度も言いますが、通販で売っているものはすべて医学的に正しいものではありません。歯列不正を招く場合があります。国のガイドラインでも非推奨となっております。お口に入れるものくらい、いいものにしませんか?それではまた。
歯科医師 河合鮎樹